大判例

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仙台高等裁判所 昭和28年(う)937号 判決

原判決は被告人が、昭和二八年四月一二日頃、被告人より西村山郡七軒村大字沢口七九番地鈴木権右エ門方に至る道路上、通称七夕畑附近において会田光弥より判示侯補者のため投票並びに投票取締方依頼を受け、その報酬たることの情を知りながら、金五〇〇〇円の供与を受けたとの公訴事実につき被告人は自白しているが、右自白を補強するに足る証拠がなく、結局、犯罪の証明がないとして無罪の言渡をしたこと及び自白を補強すべき証拠は自白にかかる事実の真実性を保証し得るものであれば足りることは、いずれも所論のとおりである。しかしながら本件において、被告人は原審公判廷において右公訴事実を自白し、かつこれに関連して、公訴事実第四(原判示第三)事実の如く、鈴木権右エ門に対して供与した二、九〇〇円は会田光弥から供与を受けた五、〇〇〇円から支出したものである旨を供述し、検察官に対する供述調書(記録二八三丁以下)でも論旨摘録の如く、会田光弥から五、〇〇〇円の供与を受けたのは、同人と共に鈴木権右エ門方に赴く途中、道路上でのことであつたこと、その五、〇〇〇円は一〇〇円札であつたこと、その供与を受けて後直ちに鈴木方に赴いたが、被告人が一足先に赴き、鈴木権右エ門に右金二九〇〇円の供与をしたこと、その直後会田も鈴木方に来て、鈴木・被告人・会田と三人で推せん状署名者の件の打合せをしたなどのことを供述しているのであるが、これに対して鈴木権右エ門の原審証人としての供述及び検察官に対する供述調書の供述は論旨摘録の通りであつて、それが被告人の自白に照応するのは、被告人と会田とが鈴木方に行つた情況及びそこでの二人の行動、その時被告人が鈴木に供与した金が一〇〇円札であつた点のみであつて、鈴木において被告人が会田から五、〇〇〇円の供与を受けたことを見たとか、聞いたとか或いは被告人が鈴木に供与した金が会田から供与されたものの一部である旨の話を聞いたとか、などの供述は全く存在せず、これを要するに、鈴木権右エ門の所論供述からは、被告人が会田から五、〇〇〇円の供述を受けたことを直接にも間接にもこれを推認することはできないのであつて、鈴木のこれらの供述を以つて被告人の前記自白の真実を保障するものとは言い難い。

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